AIEO2026年6月15日

llms.txtは効かない。それでも設置を勧める理由

「llms.txtは最も手軽なAIEO施策」——以前はそう書いていました。でも自社で検証し、30万ドメイン規模の調査を見て、考えを改めました。llms.txtの効果の実際と、本当に効く施策を整理します。

金井 成仁

金井 成仁

合同会社NAVIGATE 代表 | データサイエンティスト / AIコンサルタント

以前の主張と、その撤回

少し前まで、当社(合同会社NAVIGATE)はブログで「llms.txtを設置すれば、ChatGPTの回答が変わる。最も手軽なAIEO施策です」と書いていました。

結論から言うと、これは言い過ぎでした。撤回します。 設置そのものに害はありませんが、「これを置けばAIに出るようになる」という効果は、現時点のデータでは確認できません。なぜ考えを改めたのかを書きます。

llms.txtを「効く」と考えていた理由

llms.txtは、AIに「サイトのどの情報を優先して参照してほしいか」を伝えるためのファイルです。robots.txt(検索エンジンのクローラー向け)のAI版、という説明をよく見ます。仕組みとしては筋が通って見えたし、設置は数分で終わる。だから「手軽で効く第一歩」として紹介していました。

調査で分かった現実:効果は確認できない

自社を実験台に計測し、公開されている調査を当たって、認識が変わりました。

  • 30万ドメインの調査(SE Ranking): llms.txtの設置率は約10%。そして設置と、AIでの引用頻度の間に相関は見られなかった。予測モデルからllms.txtの変数を外すと、むしろ精度が上がったほどです。
  • ログ調査(OtterlyAI・90日間): AIボットの訪問62,100件超のうち、llms.txtに実際にアクセスした回数はわずか84件(約0.1%)
  • Googleの見解: 「どのAIサービスもllms.txtを使うと表明していない。サーバーログを見ればチェックすらしていないことが分かる。keywordsメタタグと同等に見える」(GoogleのJohn Mueller氏)。
  • 2026年時点で、OpenAI・Google・Anthropicのいずれも、本番システムでllms.txtを読むと公式に約束していません。

つまり「置けばAIが読んで、回答が変わる」という前提自体が、まだ成り立っていない。

本当に効く施策——外部言及・独自データ・鮮度

国内外の調査・論文を確認し、何が効くのかを徹底的に調べ上げました。

  • 第三者からの言及(外部メディア・比較記事・レビュー)が最強。 Ahrefsが約75,000ブランドを分析した調査でも、AIでの可視性と最も強く相関したのは外部での言及(相関0.66〜0.74)でした。被リンク数やサイトのページ数より効く。
  • 独自データ・統計を含むコンテンツ。 プリンストン大学などの研究(GEO, KDD 2024)では、本文に統計を加えると生成AIでの可視性が最大41%向上したと報告されています。
  • 会社情報の一貫性(エンティティ)と、コンテンツの鮮度。

要するに、調査が一貫して示すのは——AIに選ばれているのは「設定ファイルを置いた会社」ではなく、「外部に正しく・多く言及され、独自の情報を出している会社」だ、ということです。

llms.txtの正しい位置づけ

無駄ではありません。設置は数分・害もないので、"将来AIが対応したときのための保険"として置くのは合理的です。ただ、それを「最も手軽で効く施策」として中心に据えるのは間違いでした。土台の一部、という位置づけが妥当です。

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― 金井 成仁(合同会社NAVIGATE 代表)

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